HMBはどんなサプリ?応用的な効果と正しい摂取方法
2018.07.21
最近何かと話題を集めている筋肉系サプリメントのHMB。
ネット広告を中心に多くのメーカーから販売されているこのHMBですが、その具体的な効果についてははっきり知られていない部分が多いのではないでしょうか。
HMBに関しては様々な情報が広がっており、どれが正確な情報か混乱してしまいがちです。
そこで今回の記事では、HMBの効果について解説して行きます。
HMBとはどんなサプリメント?
HMBとはどんなサプリメントなのでしょうか。
まずはこのHMBがどんなサプリメントでどんな効果や特徴を持つものなのでしょうか。
HMBとは?
HMBの正式名称は、「β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸(メチルブチレート)」と呼ばれています。
知っている方も多いかとは思いますが、HMBはBCAAに含まれる必須アミノ酸の1つであるロイシンの代謝産物であり、摂取されたロイシンは最終的にHMBの形になって吸収されていきます。
HMBはロイシンの代謝産物ではりますが、窒素結合をしていないことから、アミノ酸という分類はされず、炭水化物としてのカテゴリーに分類されています。
ロイシンには筋肉の合成促進作用があり、BCAAに含まれるその他の必須アミノ酸であるバリンとイソロイシンよりも多く配合されているBCAAもあります。
しかし、摂取されたロイシンのうち、HMBとして体に吸収されるのはわずか5%程度であり、それ以外のロイシンは吸収されることなく体外に流れで出てしまいます。
ロイシンの効果の高さは以前より知られているところでしたが、あまりにも効率が悪いとうことで、何か良い方法はないかということで開発されたのがHMBです。
最初からHMBの形で摂取できるサプリメントがあれば、その分効率的にロイシンの持つ効果を実感しやすくなるという考えから、アメリカにて最初の研究がされ、現在に至ります。
しかし、HMBの原末は非常に臭いがきつく、また苦みもひどいことから、中々飲みにくいのが難点とされてきました。
しかし現在では、粉末タイプの他にも錠剤タイプのものや味をつけたHMB、もしくはフリーフォームHMBと呼ばれる液体のHMBも販売されています。
今日では錠剤タイプのHMBが最も一般的になっていますが、液体のほうがより吸収が早いとされています。
HMBの効果について
現在有名なサプリメントメーカーやマイナーなメーカー含め、多くのメーカーから販売されているHMBですが、一体どのような効果をもつのでしょうか。
筋肉の合成促進効果
まず挙げられるHMBの効果として、筋肉の合成促進効果があります。
人間の筋肉は、筋力トレーニングやその他激しい運動をすることにより筋肉を刺激したり負荷を与えることにより、筋肉の繊維に傷がつきます。
そしてその傷ついた筋肉に対して栄養と休養を与えることで筋肉を修復し、その過程で強く太い筋肉に作り替えることが可能になります。
この筋肉の修復の過程でHMBを摂取しておくことにより、筋肉の合成が促進され、大きい筋肉に作り変えることができるというわけです。
HMBを摂取することにより筋肉の合成が促進されるメカニズムとしては、HMBを摂取すると、mTOR(エムトア)という筋肉合成に機能する伝達物質を刺激することができ、それにより筋肉の合成が促進されるという形になります。
筋肉の分解抑制効果
もう1つのHMBの持つ効果として、筋肉が分解されるのを抑制する効果があります。
アスリートや筋トレをして筋肉を大きくしたい人にとって、筋トレで筋肉を鍛えることは必須になりますが、その際、ただ単に筋トレをしているだけだと、筋肉がむしろ小さくなってしまう恐れがあります。
というのも、激しいスポーツや筋トレを行う中で、体内のエネルギーが枯渇すると人間の体は何か他のものを使ってエネルギー源に使用とします。
その際にエネルギーとして使われるのは脂肪と筋肉です。
筋肉はアミノ酸から構成されており、エネルギー源を失った体はこの筋肉をアミノ酸に分解することで生命維持のために使います。
ですので、適切な栄養摂取をしていないと、むしろ筋肉は分解されてしまい、小さくなってしまうという恐ろしい状況に陥ってしまいます。
そこでHMBを摂取することにより、この減少を抑制することができます。
HMBを摂取することにより、筋肉の分解を促進する酵素であるユビキチン・プロテアソームというものの働きを抑制することができます。
これにより筋肉が分解されることを防ぎ、運動で筋肉が失われることを防ぐことができます。
筋肉疲労の軽減
もう1つのHMBの効果として考えられているのが、筋肉疲労の軽減効果です。
筋肉は激しい負荷を加えることにより疲労物質が蓄積し、それにより翌日重さやだるさ、もしくは痛みを感じるようになります。
運動の習慣がない人でも、長時間立っていたり長距離を歩いた時には筋肉痛になったことがあると思いますが、筋肉痛はまさに筋肉が疲労して刺激を受けている状態にあります。
HMBを摂取することで筋肉の疲労を軽減させることができ、筋肉痛を軽減してくれることにより翌日のトレーニングや練習でもパフォーマンスを維持した状態で行う事が可能になります。
よく、筋肉痛にならなないと筋肉が成長しないのではないか、と言われます。
しかしこれは正確な情報ではなく、筋肉痛にならなくても筋肉に刺激が入っていれば筋肉は成長していきます。
むしろ筋肉痛があることでトレーニング時の可動域が狭くなり、怪我の原因にもなりますので、できるかぎり筋肉痛はない方が望ましいといえます。
HMBの応用的な効果について
HMBの効果について上記のように解説してきましたが、それを踏まえてHMBに期待できる効果について見ていきます。
HMBを飲めばダイエット効果がある?
HMBにはダイエット効果があるのでしょうか。
HMBを販売しているメーカー、特にインターネット通販中心の会社の広告を見ると、男性、女性の各モニターがビフォーアフター写真とともに紹介されています。
男性の場合はだらしない体からムキムキの体型に変化しており、女性の場合もポッコリ出たお腹が凹んでキレイな体型に変化した写真が多く使われています。
出は、実際にHMBを飲むと痩せるのでしょうか?
まず言えることとして、HMBを摂取したからといってそれが直接に脂肪燃焼を効果をもたらすということはありません。
燃焼系サプリメントのように脂肪を分解、運搬、燃焼してくれる効果はありませんので、その点は注意しましょう。
しかし、HMBにダイエット効果がないのかというと、決してないと断言することはできません。
というのも、HMBを摂取することで、間接的にはダイエット効果も期待できるためです。
なぜかというと、HMBは上記でも解説したように、筋肉の合成促進作用を持ちます。
そして、筋肉の量が増えることにより代謝がアップし、体脂肪の燃えやすい体質に体を変化させることができるようになります。
ですので、結果として筋肉が増えれば、ダイエット効果を得ることができるので、HMBにもダイエットをアシストする効果があるといえます。
高齢者サプリメントへの応用
HMBは筋トレやその他の激しいトレーニングを行う人に対して推奨されているサプリメントではありますが、現在では高齢者にも推奨できるサプリメントとして、高齢者向けのサプリメントとしての応用が進んでいます。
というのも、海外の研究において、HMBの効果が若年の成人だけでなく70代の高齢者にも効果があるのかどうかを確認したところ、規則正しい運動を行ったうえでHMBを摂取した高齢者にも、効果的に筋肉の増加がみられたとの結果が出ています。
人間は加齢に伴い筋肉の量が減少していきます。
筋肉はスポーツの場面で利用されることは言うまでもないことですが、その他の日常生活においても無意識のうちに使われています。
朝、布団から起きる際や歩く際、ものを持ちあげる際など、日常の何気ない動作の中で筋肉は欠かせない存在といえます。
高齢になり筋肉の量が減少することによりこうした基本的な動作も難しくなり、加齢に伴う歩行不能による車いす、寝たきり、という状態に陥ってしまいます。
現在は医療の進歩により、特に日本においては平均寿命が非常に長くなっていますが、それに伴い重視されているのが健康寿命というものです。
せっかく長生きで来ても、長い間寝たきりや車いす生活を余儀なくされるというのは、決して望ましい状態とは言えません。
そこで、いかに健康な状態で長生きできるかという健康寿命が注目されるようになりました。
現在では歩行が困難になる疾患としてロコモティブシンドロームという言葉もよく聞くようになりました。
こうした状態を回避するためにも、HMBを摂取して筋肉の量をキープ、増加させることで健康に長生きできる可能性を高めることができます。
運動パフォーマンスの向上
HMBを摂取することにより、運動のパフォーマンスをアップさせる効果も期待できます。
再三の解説になりますが、HMBには筋肉合成を促進させる効果が期待できます。
アスリートにとっては筋肉の量がパフォーマンスを左右するといっても過言ではありませんので、筋肉をしっかりと付けることが大事になります。
また、シーズン中や日々の激しいトレーニングに耐えうる筋肉を作る上では、HMBの持つ筋肉合成作用や筋肉分解抑制作用が役に立ちます。
HMBの効果を得るための摂取方法
HMBの上記の効果を実感するために、どのように摂取し、またどのようなタイミングで摂取するのが望ましいのでしょうか。
HMBの摂取量
まず、推奨されているHMBの摂取量については、1日に3gとされています。
これは海外の研究で明らかにされた量であり、一部情報によると3gを超えた量を摂取すると筋肉の量が減るとも言われています。
しかし実際には3gを超えても筋肉の量が減るということはなく、3g摂取しても4g摂取しても得られる効果は同じというのが現在の定説とされます。
そしてこの3gですが、1回に3gすべて摂取してしまうのではなく、可能であれば複数回に分けて摂取することをおすすめします。
というのも、こまめに摂取することにより血中のHMB濃度をキープすることができ、それによりHMBの持つ効果を実感しやすくなるためです。
特に筋トレを行う日には、筋肉の合成促進効果と分解抑制効果を同時に得るために、常に体内のHMB濃度を保っておく必要があります。
基本的には3時間から4時間おきに摂取するのがおすすめです。
メーカーによっては1日の摂取量が3gに満たないものがありますので、成分内容をよく確認してから購入するようにしましょう。
安いからという理由で購入して後で後悔するというのはよくあるケースですので、注意が必要です。
HMBと相性の良いサプリメント
HMBを販売しているメーカーによっては、プロテインは不要と言っているようなメーカーもあります。
しかし、HMBの効果を得るためには、プロテインの摂取は不可欠です。
というのも、HMBの持つ筋肉合成促進作用は、あくまでもmTORに対して筋肉を作るように合図を出すものであり、合図を送ったところで筋肉の材料となるタンパク質がなければ筋肉は作られることはありません。
HMBとプロテインは全く別物のサプリメントですので、お互いに摂取することによって効果を得ることができるものです。
HMBがあるからプロテインはいらないというのは、間違った情報と言わざるを得ません。
その他、HMBの効果を高めてくれる効果の期待できるサプリメントとしては、クレアチンがあります。
クレアチンは摂取することにより体内に蓄積され、筋力の発揮に効果を発揮してくれます。
これはクレアチンを摂取することによりATPという物質が生産され、これがパワーの発揮に効果をもたらしてくれるためです。
そして、クレアチンを飲んでトレーニングの質を高めることにより、より筋肉に強い負荷や、刺激が入ります。
そしてそのタイミングでHMBを摂取することで、より強力な筋肉合成作用を得ることができます。
ここでも言うまでもなくプロテインの摂取が必要になりますので、必ず摂取するか、食事の中でタンパク質の多い食材を食べるようにしてください。
また、トレーニングしない日とトレーニングする日でも飲み方が違います。
HMBはトレーニングをしない日でも摂取すべきか?
こちらで詳しく説明していますので参考にしてください。
まとめ
以上、HMBの効果について解説してきました。
HMBは新しいサプリメントであることから、今後さらに新しい効果や、組み合わせが誕生するかもしれません。
現在では多くのメーカーによって販売されていることから、正しい情報が何なのかがわからなくなってきてしまっています。
今回解説した内容を元に、実際にHMBの摂取を考えている人は正しい認識と理解をもって摂取するようにしましょう。