筋トレと酒の関係について。筋トレの日は飲酒は避けるべき?

2018.08.01

酒と筋トレイラスト

今現在筋トレを行っている人にとって、最終的な目標は何であれ、筋肉を付けるということが目的となっているはずです。

筋肉を付けるには当然筋トレをコツコツと行い筋肉に刺激を入れる必要がありますが、その他にも意識するべきこととして、栄養管理があります。

筋肉を付けるために必要な栄養素を摂取することはもちろん、筋肉の成長を妨げるようなものの摂取を避ける必要があります。

そこで今回の記事では、筋肉に影響を与えるとされているアルコールについて考え、飲酒と筋トレの関係について解説していきます。

お酒が筋肉にもたらす影響

ビール
筋トレやスポーツをしている人の中には、お酒が大好きな人もいらっしゃるでしょう。

飲酒は肝臓などの内臓に負担がかかり、悪影響を与えると言われています。

では、お酒を飲むことは筋肉の成長や筋トレに影響を及ぼすのでしょうか。

筋肉が大きくなるには

筋肉が大きくなるには、一連のメカニズムを経る必要があります。

まずは言うまでもなく、筋トレや運動をしっかりと行って、筋肉に刺激を与えなければなりません。

自重であれウエイトトレーニングであれ、筋肉に負荷、刺激を与えることにより、筋肉の繊維が破壊されダメージを受け、筋肉痛が生じます。

破壊された筋繊維は、回復するために栄養を欲していますが、ここで必須になる栄養素がタンパク質です。

タンパク質はアミノ酸が複数結合したものであり、筋肉に刺激を入れた後に摂取することで、筋肉は合成を開始します。

筋肉の合成が行われることにより筋肉が成長していきます。

基本的にはトレーニング後にプロテインを摂取するのが一般的で、その中でも特に吸収の早いホエイプロテインを摂取するのが最も一般的です。

その他、トレーニング中にBCAAを摂取することでも筋肉の合成を促進することが出来ます。

普段からタンパク質やアミノ酸をしっかり摂取し、さらに適度な糖質やビタミンBをはじめとするビタミンやミネラルの摂取も大事になってきます。

栄養をしっかり摂取したら、今度は休養を筋肉に対して与えることが重要になってきます。

休養とは、睡眠を含め筋肉を休ませることであり、しっかりとした睡眠の他にも、筋トレをしない日を作ることにより筋肉の回復を促進し、以前よりも強く太い筋肉を作ることが出来ます。

また、睡眠中には成長ホルモンが分泌されます。

成長ホルモンが分泌されることで筋肉が回復、成長させることができ、また体脂肪の燃焼にも効果を発揮してくれます。

成長ホルモンを分泌させるには、睡眠時間をしっかりと確保する必要がありますが、ただ単に長い時間寝るだけでなく、いかに深い眠りをとれるかも大切です。

眠りが浅いと成長ホルモンの分泌も抑制されてしまい、筋肉を思うように成長させることができません。

飲酒と筋トレとの関係

お酒
筋トレをする人の中には、お酒が好きという人も多いと思います。

では、アルコールの摂取は筋トレや筋肉の成長にどのような影響をもたらすのでしょうか。

筋肉の合成を抑制してしまう?

飲酒が何となく筋肉の成長に良くないような気がするという人は多いと思いますが、実際に何が良くないのでしょうか。

まず考えられることとして、筋肉の合成を抑えるのではないか、ということがあります。

上記で解説したように、筋肉を大きくするには筋トレの後の栄養摂取によって筋肉の合成を促進する必要があります。

そして、アルコールを消費することにより、筋合成が妨げられるとされています。

実際の海外の研究において、トレーニング後のアルコールの摂取が筋肉のタンパク質の合成に与える影響についての実験を行った結果、プロテインを摂取した被験者グループと、アルコールとプロテインを摂取した被験者グループでは、タンパク質の合成に差が出たとされています。

言うまでもなくアルコール摂取群のほうが筋合成の効率が悪化しており、アルコールが筋肉の合成を妨げる効果があるということがわかります。

ちなみにこの実験では、炭水化物とアルコールを摂取したグループもおり、このグループはプロテインとアルコールを摂取したグループよるもさらに筋肉の合成率が妨げられていました。

別の実験においても、アルコールの筋肉に与える影響についての結果が出されています。

筋肉を成長させるには、mTOR(エムトア)という酵素の働きが活性化されることによりタンパク質の合成が促進され、これにより筋肉が成長します。

このmTORは、プロテインをはじめとするタンパク質の摂取や、最近話題のサプリメントであるHMBによっても活性化がされるといわれています。

HMBはBCAAに含まれるロイシンというアミノ酸の代謝産物であり、これにより筋肉の合成が促進されるとされます。

実験においては、男性女性のそれぞれん被験者に対して、筋トレ後にアルコールを与えたところ、アルコールを摂取していないグループと比べてmTORの活性が弱まっていることが確認されており、また、特に男性のほうが女性と比較して活性化が弱まっていることが確認されています。

アルコールが筋肉の回復をも妨げる

アルコールの摂取は筋肉の合成を妨げるだけでなく、さらには筋肉の成長の条件の1つである回復も遅らせるとされています。

こちらも海外の実験で、強度の強いトレーニングを行ったあと、ジュースを摂取した群とアルコールを摂取した群に分け、筋力の低下の度合いについて調べられています。

この実験では、トレーニング後の筋肉の回復を調べるために、トレーニングの翌日にもう一度筋力を発揮させるようなトレーニングを被験者に行わせましたが、アルコールを摂取した群も摂取しなかった群も、トレーニングの翌日は筋力の出力が低下していました。

しかし、さらに時間が経過した後にもう一度筋力の測定をしたところ、ジュース摂取群よりアルコール摂取群では筋力の発揮に違いが出始め、アルコール摂取群のほうが筋出力が低下しており、筋力の低下が確認されています。

さらにこの研究では、アルコールの摂取が筋肉の回復に与える影響については、飲酒量が多くなる程回復が遅れるということがわかっています。

筋肉の成長には超回復という理論をしっかり意識、理解する必要があります。

超回復とは簡単にいうとトレーニングで酷使された筋肉が完全に回復することにより筋肉が以前よりも成長するという考え方です。

この超回復を引き起こすには、ただ単に筋肉を休ませるだけでなく、しっかり栄養を摂取し、さらにしっかり筋肉に休養を与えることも大事になります。

飲酒によって筋肉の回復が遅れると、その分超回復も遅れてしまいます。

また、飲酒をすることによって、睡眠の質が低下します。

お酒を飲むことにより眠気を感じる人は多く、すぐに眠りに入ることが出来ますが、実はアルコールによって入眠した場合、普通に眠った場合と比べて眠りが浅くなってしまうとされます。

眠りが浅いとその分成長ホルモンが分泌されにくくなり、筋肉の合成や回復が妨げられるという悪い循環に陥ってしまいます。

男性ホルモンの減少

筋肉を成長させるためには、男性ホルモンの1種であるテストステロンを分泌させる必要があります。

このテストステロンですが、筋トレや激しいトレーニングを行うことにより分泌させることが出来ますが、特に大きな筋肉である大胸筋、広背筋、下半身の筋肉を鍛えることにより効果的に分泌させることが出来ます。

特にスクワットやベンチプレスを行うことでより多くの男性ホルモンが分泌され、体全体を大きくさせることが可能になります。

このテストステロンは、筋肉を成長させる他にもメンタルを正常に保ったり、引き締まった体を維持する効果もあります。

しかし、アルコールの摂取によりテストステロンの分泌が抑制されてしまいます。

例えば飲み会の定番であるビールには、ナリンニゲンという成分が含まれており、これがテストステロンの分泌が妨げられます。

さらには、アルコールを摂取することにより、コルチゾールというホルモンが分泌されてしまします。

このコルチゾールは、筋肉を分解させるだけでなく、脂肪を合成させやすくしてしまうという、筋トレを行う人はもちろん、ダイエットを行う人にとっても最悪の状況に陥ってしまいます。

こういった意味でも、飲酒が筋肉の成長を妨げるということがわかります。

アルコール筋症

さらに恐ろしい症状として、アルコール筋症というものがあります。

これは、過剰なアルコールの摂取により筋肉の合成が遅れ、逆に筋肉の分解が促進されてしまうという症状です。

また、アルコールに対する耐性は個人差があり、少ない量でもべろんべろんによってしまう人がいます。

ですので、飲酒量が少量でもアルコール筋症になってしまう人がいます。

正しいお酒との付き合い方

お酒2
上記で紹介したように、アルコールを摂取することで、筋肉の成長や回復について悪影響を及ぼしてしまいます。

それでもやはりお酒が大好きな人はいますし、無理に禁酒をするとストレスが溜まります。

ストレスが溜まってしまうことでもテストステロンの分泌が抑制されてしまいますし、さらに溜まったストレスや悩みが爆発して今まで以上にアルコール摂取量が増えてしまうとさらに健康を害してしまいます。

では、正しいお酒との付き合い方はあるのでしょうか。

まずは量を調節しよう

上記の研究結果でも見た通り、アルコール摂取により筋力が低下し、さらにアルコール摂取の量が多いほど筋出力が低下するとされています。

ですので、どうしてもお酒を飲みたい人は、飲む回数や飲酒する量をコントロールして対策することがまず大事になります。

目安となるアルコールの摂取量については、体重×0.5g程度かそれ以下にとどめることにより、そこまで筋肉に影響を及ぼすことはないとされています。

しかし、先ほども解説したように、アルコールの耐性には個人差がありますので、お酒が強いと思っていても実はそこまで強くなかったということもあります。

ですので、お酒を飲んでも大丈夫!と思っても実は悪影響を及ぼしているということは十分にあり得ます。

お酒が好きな人であっても、まずは筋トレを行った日には過剰な飲酒をすることはやめましょう。

特にスクワットやデッドリフト、ベンチプレスなどの激しいトレーニングを行った日には回復を促進させることを優先させるために、飲酒量を控えたり、可能であれば飲酒を一切控えることも考えましょう。

飲むお酒の種類を考える

摂取するアルコールの種類を考えるだけでも、筋肉に与える影響は変わってきます。

まずは考えるべきは糖質です。

糖質の量が少ないお酒を選ぶことで、余計な脂肪をつけることがなくなります。

同じお酒でも多くの人に人気の日本酒やビールには糖質が多く含まれるので問題となる一方、ウィスキーや焼酎などの蒸留酒の場合糖質はほとんどありませんので、こうした種類のアルコールを摂取することをおすすめします。

飲み会の時の工夫

筋トレを行っている人の中には、日々の飲み会を断れない人もいるでしょう。

そうした人でも、決して羽目を外すことなく意識を高く持ち、正しい方法をとることで、筋肉に対する影響を最小限に食い止めることが出来ます。

まずは飲むアルコールの種類については、上記でも解説したように糖質の少ないアルコールを摂取するようにしましょう。

そして、おつまみを食べる際にはタンパク質の多いメニューやサラダなどを食べ、バランスを意識するようにし、糖質と脂質の摂りすぎに注意しましょう。

しめのラーメンは絶対に控えてください。

タンパク質にはアルコールを吸収してくれる効果が期待できるため、積極的に摂取してほしいところです。

唐揚げなどの揚げ物は避け、刺身や焼き魚を食べると良いでしょう。

サプリメントの活用

サプリメント(健康食品)を活用することでも、アルコールの影響を少なからず食い止めることができます。

まずはタンパク質を多く摂取するためにプロテインを意識的に多めに摂取したりすることは非常に大事です。

また、アルコールの摂取がテストステロン量が減る原因になると解説しましたが、テストステロンを増やす効果のあるサプリメントもあります。

テストステロンブースターと呼ばれるサプリメントは、摂取することでテストステロンの量を増やしてくれる効果があります。

亜鉛やマグネシウム、ハマビシといった栄養素も摂取することでもテストステロンの量を増やすことが可能になりますので、こういったものを摂取することも大事です。

まとめ

以上、飲酒と筋トレの関係について解説してきました。

正直なところ、アルコールを飲んで筋肉に対して好影響を与えることはありません。

ですので、可能であれば飲酒をしないということが最も好ましいといえます。

そのうえでどうしても飲酒がしたいのであれば、今回解説した内容を参考にして、上手な付き合い方をし、飲むタイミングを考えたりお酒を飲まない日も作っていきましょう。