筋トレで椎間板ヘルニアになる?種目ごとのリスクと対処法
2018.07.25
筋トレがハードになればなるほど、怪我のリスクというものは高まります。
特に、高重量を扱うにあたり注意しなければならない箇所は、腰でしょう。
腰は上半身と下半身の両方のトレーニングにおいて使われる箇所であり、意識していなくてもかなりの負荷がかかっていることがあります。
そこで今回は、筋トレによる椎間板ヘルニアのリスクやその予防方法、椎間板ヘルニアになってしまった時の対処法について解説していきます。
椎間板ヘルニアのリスク
筋トレもしくは何らかのスポーツをされているアスリートにとっては、椎間板ヘルニアという言葉は1回は聞いたことがあると思います。
では、この椎間板ヘルニアはなぜ起きてしまうのか、またどのような症状が出るのでしょうか。
椎間板ヘルニアとは
椎間板ヘルニアとは、椎間板という、背骨と背骨の間にある、クッションのような働きをしているものが圧迫されてつぶされることにより飛び出し、それが神経に触れることにより痛みを生じさせるものです。
筋トレを行う際には姿勢も大事であり、どのような姿勢で行うにも背筋(せすじ)を伸ばし、腰を反った状態でトレーニングを行う必要がありますが、その際に扱う重量が重くなると腰にかかる負担も大きくなり、椎間板ヘルニアのリスクも高まります。
その他、遺伝によっても椎間板ヘルニアのリスクは変わってくるとされます。
骨の形状は人間それぞれで微妙に変わってきますし、生まれつきの姿勢が原因で椎間板ヘルニアになりやすい人います。
また、加齢により椎間板ヘルニアのリスクも高まりますが、意外にも若い人でも椎間板ヘルニアになってしまう人が多くいます。
特にデスクワークが多い人や、休みの日も家にいて椅子に座ってパソコンとにらめっこしているような人は椎間板ヘルニアになりやすいです。
そのほか、うつぶせで寝る癖がある人も椎間板ヘルニアのリスクが高まります。
椎間板ヘルニアの症状
椎間板ヘルニア激しい腰の痛みを伴いますが、しばしば腰の痛みを感じるという人は多いと思います。
ちなみに、椎間板ヘルニアで腰が痛いと感じること自体は、坐骨神経痛というものが原因となっています。
では、普通の腰痛と椎間板ヘルニアとでは症状にどのような違いがあるのでしょうか。
椎間板ヘルニアは、腰の痛みはもちろん、足にまでしびれがくるほどの痛みや違和感を感じるようになります。
日常生活、例えば歩いたり排泄をしたりという動作においても痛みや不自由さを感じることがあり、明らかに普通の腰痛とは異なる症状が起きます。
よくヘルニアとぎっくり腰が混同してしまう人がいますが、ヘルニアの場合は本当に足先の感覚がマヒしてしまうような感覚があります。
また、大きな違いとしては、ぎっくり腰の場合は安静にしていると徐々に痛みが軽減されていきますが、椎間板ヘルニアの場合は痛みがどんどんひどくなっていくという特徴があります。
椎間板ヘルニアの診断は、整形外科にいってMRIを撮ってもらうことによりわかります。
いつもの腰痛とは明らかに違う違和感がある場合には、整形外科に行き診断してもらいましょう。
椎間板ヘルニアの治療方法
では、椎間板ヘルニアと診断された場合、どのようにして治療すべきなのでしょうか。
椎間板ヘルニアというと手術を行うイメージが強いですが、必ずしも全員が手術をするというわけではなく、あまりに症状がひどい人に限って手術を行い、それ以外は保存療法による治療を行っていきます。
具体的には薬物治療、リハビリなどがメインになります。
手術をする場合もレーザー手術や内視鏡手術等、様々な方法があります。
椎間板ヘルニアになってしまった場合、保存療法を行う場合には軽い場合には痛みが解消されるまで1カ月、重度の場合には3カ月ほどの治療期間を要し、さらに手術を行うほどの重度のヘルニアであればもっと長い期間を治療に費やす必要があります。
もちろん治療が完了したからといってすぐに激しい運動をしてよいというわけではなく、リハビリや軽い運動を行いながら少しずつ体を慣らしていく必要があります。
整体で施術してもらい、体を整えるというのも治療方法の1つとして考えられます。
椎間板ヘルニアを引き起こしやすい筋トレメニュー
では、椎間板ヘルニアのリスクを高める筋トレのメニューにはどんなものがあるのでしょうか。
デッドリフト
まず、腰にダイレクトに負担を与える種目が、背中の種目であるデッドリフトです。
デッドリフトでは、脊柱起立筋という背中の中心部分の筋肉と腰回りの筋肉を鍛えますが、かなりの負荷が腰に乗ってきます。
集中して行わないとアップの段階で腰に違和感を感じてしまう人もいるでしょう。
デッドリフトの動作の中でいきなり椎間板ヘルニアになるということはなく、蓄積されたダメージにより症状が出るのが一般的です。
スクワット
脚のトレーニングであるスクワットも腰にはかなりの負担がかかるトレーニング種目です。
デッドリフトもそうですが、正しいフォームで行うことができないと腰への負は強まるばかりであり、それが蓄積されることによりどんどんダメージは大きくなっていきます。
正しいフォームを身に付けたうえで、そのフォームを維持できる程度の重量設定をしないと腰に負担がかかりますので、注意しましょう。
ベンチプレス
意外かもしれませんが、ベンチプレスも椎間板ヘルニアのリスクを高める種目の1つです。
扱う重量が高重量になるほど、自然と腰を反ってベンチプレスを行ってしまいがちであり、また特にパワーリフターなどのような重量を競うアスリートの場合は、大胸筋だけでなく腕や腰の筋肉も総動員してウエイトに挑んでいきますので、腰にかかるダメージも相当大きくなります。
筋肥大を目的でベンチプレスを行う場合には、腰を反ることなく、胸の力でシャフトを挙げるという意識をもって行うようにしましょう。
筋トレでの椎間板ヘルニアを未然に防ぐ方法
筋トレを行う中で腰に負担がかかってしまうのはある程度は仕方ないことではあります。
しかし、日ごろから腰を意識して筋トレを行うことにより椎間板ヘルニアのリスクを減らす対策になります。
ストレッチを行う
椎間板ヘルニアは、腰を曲げる際に圧迫がかかり、それにより引き起こされる症状です。
骨盤は通常、まっすぐ立った状態にありますが、腰が曲がる時に骨盤が後ろの方向に倒れます。
これにより椎間板ヘルニアのリスクがアップしてしまいます。
そこで、まずは骨盤の位置を正しい位置にするようにストレッチを行うことをおすすめします。
ストレッチ方法についても別に特別なものではなく、通常の前屈運動により骨盤を前に出す動作を加えるようにすれば大丈夫です。
骨盤を後ろではなく前に出すには、お尻の筋肉やハムストリングス(太もも裏)を伸ばすことがポイントになります。
また、股関節のストレッチも椎間板ヘルニアのリスクを低下させる要因になります。
座った状態で足を伸ばして手をつま先に付けるストレッチを行えば、お尻やハムストリングスを伸ばすことができますので、筋トレをする日はトレーニングを始める前はもちろん、しない日でもこうした簡単なストレッチを習慣づけるといいでしょう。
体幹を鍛える
トレーニングにより椎間板ヘルニアを予防することもできます。
実は腹筋の力が弱いと、背骨をまっすぐにキープすることができず、それにより姿勢が悪くなって背骨が圧迫され、椎間板ヘルニアになってしまうというケースがあります。
そこで、腹筋をはじめとする体幹トレーニングを日々行うことをおすすめします。
これも特に奇をてらったトレーニングではなく、通常の腹筋運動や体幹トレーニングを行うだけで十分です。
通常の腹筋運動やプランクポーズというヨガのポーズを行うほか、最近ではコアヌードルという体幹トレーニング用の器具も販売されています。
これは、細い棒状の形をした器具で、この上にあおむけで寝た状態で膝をあげてキープすることで体幹を鍛えることができるものになっています。
体幹を鍛えることでお腹の力や腹圧がアップしたり、筋肉の血行が改善されるなどの効果があり、体全体のバランスを改善することができますので、これも日々行うようにしましょう。
トレーニングベルトを使用する
筋トレの際に腰になるべく負担をかけないよう、トレーニングベルトを巻いて筋トレを行うという方法もあります。
特に上記で紹介したデッドリフト、スクワット、ベンチプレスを行う場合には、トレーニングベルトを巻いて行うと良いでしょう。
トレーニングベルトをつけることにより、腰への負担も減る他、正しいフォームでトレーニングができるようにもなるので、トレーニング効率が一気にアップします。
購入するのもいいですし、ジムに行けば貸し出しも行っているのでそれを使ってトレーニングをするのでもいいでしょう。
座りっぱなしを避ける
デスクワークが長いと椎間板ヘルニアのリスクが高まると解説しました。
ですので、平日にオフィスにいる時は適宜席を立ち腰を伸ばすなどのストレッチを行ったり、ランチは外出したりと、座ってばかりではなく立つ、歩くという動作を日常の中で適宜取り入れるようにしましょう。
同じ姿勢をずっとキープするのは危険です。
椎間板ヘルニアになってしまったら
どれだけしっかり日ごろから予防のために工夫をしたり、トレーニングにおいて細心の注意を払っているつもりでも、やはり椎間板ヘルニアになってしまうことはあります。
そこで、椎間板ヘルニアになってしまった場合の対処法について考えていきます。
違和感を感じたらするにトレーニングをやめる
当たり前のように感じますが、違和感がある時にはすぐにトレーニングを中止しましょう。
何か腰が変だけど、とりあえずあと数セットだけやろうと思ってトレーニングを継続してしまうと、症状はさらに悪化してしまいます。
デッドリフトやスクワットなどの腰に直接負担がかかる種目は当然のこと、腕や肩のトレーニングでも腰は無意識に使われているので、少し変だなと感じたらトレーニングをストップして病院に行きましょう。
無理をして怪我を悪化させてしまっては最悪です。
コルセットで腰を固定する
椎間板ヘルニアになってしまった場合には、骨盤の位置を正しくしてやらないとまた症状が再発してしまいます。
そこで、治療期間はしっかりと腰を固定しておきましょう。
椎間板ヘルニアになってしまったけれど会社に行かなくちゃいけないという人にとっては、デスクに座り続けるのはかなりハードです。
コルセットで腰を固定しつつ、適宜立ち上がって腰の筋肉が固まらないようにしましょう。
簡単なストレッチを行う
椎間板ヘルニアを予防するためのストレッチを先ほど紹介しましたが、椎間板ヘルニアになってしまった後でも簡単なストレッチを行うことで症状を改善することができます。
やり方としては、そこまで腰に負担のかからないように方法を選択しましょう。
例えば、左右の両の手をクロスして肩を持ち、その状態で体を前後に動かす、または股関節をゆっくり息を吐きながら伸ばしていくというやり方でストレッチを行うようにしましょう。
まとめ
以上、椎間板ヘルニアについて解説してきました。
筋力トレーニングを行う人にとっては、腰は非常に大事な箇所であり、競技を問わず腰が機能しないことにはパフォーマンスを発揮することはできません。
腰の怪我はくせになりやすい特徴を持ち、特に姿勢が悪い人は再発のリスクも高まります。
トレーニング中はもちろん、日ごろの生活の中でも、姿勢などを意識して生活するようにしましょう。