プロテインの安全性について。人工甘味料や保存料、着色料は使われてるの?
2018.08.23
トレーニングを行うアスリートにとっては欠かすことのできないサプリメントであるプロテイン。
最近では男性女性関係なく、摂取している人の数は増え続けており、ジュニアプロテインという子供向けのプロテインも販売されています。
現在は大手メーカーの他にも、次々と新しいプロテインメーカーが誕生しており、その競争は激化しています。
このプロテインですが、普段何気なく飲まれているサプリメントであり、その安全性についてはあまり語られることはありません。
しかし、プロテインに限らず、食品に含まれている成分に関して敏感になる人も多いはず。
そこで今回の記事では、プロテインの安全性について、含まれている成分に着目しながら解説していきたいと思います。
プロテインに対する誤解
まず、プロテインという言葉を聞いたことがある人でも、プロテインとは何なのかについて、誤った情報を鵜呑みにしてしまっている人も多くいます。
そこで、まずはプロテインとは何なのかについて簡単に説明します。
プロテインは薬ではない
プロテインは筋肉の成長に寄与することから、プロテインと筋肉増強剤は同じものであると考えてしまっている人がいまだに多くいます。
冒頭でも軽く触れましたが、プロテインはサプリメント、つまり健康食品です。
筋肉増強剤とは、プロアマスポーツ界でしばしば問題になるドーピングの1種で、摂取することで筋肉を以上な形に発達させるもので、完全に薬の一種です。
薬ということは副作用があり、最も一般的な筋肉増強剤は男性ホルモンの量を以上なまでに増やすものであり、男性ホルモンであるテストステロンとともに、悪性の男性ホルモンであるジヒドロテストステロンも大量に分泌させることから、頭皮が薄くなったり体毛が濃くなったりするという症状を生じさせます。
繰り返しになりますが、プロテインは健康食品で、「タンパク質」を英語で表記したものです。
たんぱく質はアミノ酸が複数結合したものですが、これが筋肉の材料となり、筋トレや運動をして刺激された筋肉に与えられることで筋肉が成長、回復していきます。
その他、人間の髪の毛や肌、爪もアミノ酸から構成されているので、プロテインを摂取することでこれら体の器官の健康やコンディションを守ってくれる効果も期待できます。
プロテインはむしろ重要な栄養素であるタンパク質を摂取するために補給が推奨されるものといえます。
プロテインの種類
プロテインには大きく分けて、動物性のプロテインと植物性のプロテインというカテゴリーに分けることができます。
動物性のプロテインとは、牛乳を原料としたホエイプロテインやカゼインプロテインがあり、その他には牛肉を原料としたビーフプロテイン、卵を原料としたエッグプロテインがあります。
BCAAをはじめとする必須アミノ酸の他、筋肉の構成に役立つアミノ酸が豊富に配合されており、アミノ酸スコアも満点の100となっています。
これら動物性のプロテインの特徴は、人間の体とアミノ酸の構成が似ていることから、吸収効率が高いという点があります。
最も一般的なプロテインはホエイプロテインで、価格が安く吸収時間が早い点に特徴があります。
もう一方の植物性プロテインとしては、大豆を原料としたソイプロテインや、インゲン豆を原料としたピープロテインがあります。
植物由来のプロテインの特徴としては、特定のアミノ酸の量が動物性プロテインよりも多い点が挙げられ、グルタミンやアルギニンの量が豊富になっています。
一方で、特定の必須アミノ酸の量が少なく、アミノ酸組成のバランスが動物性タンパク質よりも悪いことから、吸収効率という面では若干ホエイプロテインをはじ目とする動物性のプロテインよりも劣ります。
腹持ちが良く吸収がゆっくりという特徴もあるので、ホエイプロテインと使い分けることも可能です。
プロテインの安全性について
プロテインが薬品ではなく食品であるということを説明してきましたが、それでも食に対しての安全性を意識されている方にとっては、何がプロテインに含まれているかは気になるところだと思います。
副作用はあるの?
まず、プロテインに副作用はあるのでしょうか。
プロテインは食品ですから、摂取したことによって重篤な症状をもたらすという可能性は限りなく低いですが、それでも人によっては体調を崩してしまう人もいるというのは事実です。
特に牛乳を原料とするホエイプロテインの場合、牛乳に対する耐性が弱く、乳製品でお腹を壊してしまう人は、ホエイプロテインでもお腹を壊してしまう可能性があります。
これは、牛乳に含まれる乳糖という成分が原因で引き起こされる症状であり、個人差がありますが、人によっては飲んですぐにトイレに駆け込む、という人もいます。
そこで、こうした乳糖に対する耐性が弱い方については、ホエイプロテインの中でも乳糖を限りなく排除したWPI(ホエイプロテインアイソレート)というタイプのプロテインを摂取することをおすすめします。
WPIは乳糖を100%とは言わないまでも排除しておりますのでお腹を下す心配も少なく、また糖質(炭水化物)や脂質の量も少ないことから、低カロリーで純粋なタンパク質を摂取したい方やダイエットをしている方にはおすすめです。
その他、ソイプロテインもお腹を壊す心配が少ないので、乳糖が不安な方はこちらも考慮に入れると良いでしょう。
飲みすぎることによる問題は?
健康食費とはいえ、たくさん摂取することによって何らかの影響を及ぼすことがあるのは事実です。
プロテインの場合、特にホエイプロテインの場合も過剰摂取により注意しないといけない点があります。
動物性タンパク質は、摂取することにより腸内で悪玉菌の繁殖の原因を作ってしまうことから、腸内の環境が乱れる可能性があります。
普段はお腹を下しにくい人でも、プロテインを大量に摂取することでお腹が張ったりする可能性があります。
また、プロテインを分解する過程で肝臓や腎臓にも負担がかかります。
ですので、日ごろからプロテインを多めに摂取している人は、週に1回は体を休ませる意味でもプロテインの摂取を控えめにしたり、後は野菜などをしっかり食べてビタミン、ミネラル、食物繊維や乳酸菌を摂取して腸内環境を整備するようにしましょう。
プロテインに含まれる成分について
プロテインを飲むことにより考えられるカラダへの影響について紹介してきましたが、それ以外にも、プロテインに含まれる成分が気になるという方も多いはずです。
そこで、プロテインに含まれることの多い成分について紹介し、その安全性について検討していきます。
人工甘味料はどんなものが使われているのか
現在のプロテインは、チョコレート風味、バナナ風味など、飲みやすくなっているのが特徴であり、飲むのが楽しみになるほど味が良いプロテインも販売されています。
では、こうした味の良いプロテインはどのような方法で作られているのでしょうか。
かなり甘味の強いプロテインでも、含まれている糖質はそこまで多くないことから、この甘味は人工甘味料を利用して作られているのがほとんどです。
この人工甘味料は、安全と言えるのでしょうか?
人工甘味料には複数の種類があります。
その特徴としては、少量でも砂糖の数十倍のあまさを実現できるという点にあります。
少量でもしっかりとした甘さを実現できることから、その分コストも抑えることができますので、現在販売されている味付きのプロテインで人工甘味料を使用していないメーカーはほとんどいないというのが現状です。
人工甘味料の代表的なものとしては、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウムなどがあります。
人工甘味料についてネットを調べるだけでも、糖尿病のリスクを始め、ガンや脳卒中などの様々な体の異常を引き起こす可能性があるという記述があり、これだけ見るととても恐ろしい成分のように思えてしまいます。
しかし、人工甘味料については今のところ100%病気への因果関係があるとは言いきれないというのが現状です。
というのも、人工甘味料の影響について行った実験では、マウスに対して人工甘味料を与えた時の影響を見ただけであり、人間に対して過剰に与えた実験は行ってはいません。
また膵臓や腎臓などの悪影響に関しても、もともとこれらの臓器の状態が悪い人や疾患を抱えている人に対しては影響があると言われているものの、健康な人が摂取した場合の影響については解明されていないというのが現状です。
人工甘味料が糖尿病を引き起こすと言われて久しいですが、いまだに明確な因果関係は見つかっていないというのが現状です。
当然ですが、人工甘味料を過剰に摂取すれば何らかの悪影響は出るでしょう。
しかし、過剰摂取における悪影響については人工甘味料に限ったことではなく、例えば普通の砂糖であっても大量に摂取すれば糖尿病などのリスクは高まります。
ですので、あまり人工甘味料について神経質になる必要はありません。
各メーカーのプロテインに使用されている人工甘味料は、どれも厚生労働省によって使用が許可されたものであり、また摂取目安量というものを定めたうえで、それよりもはるかに少ない量しか使用されていません。
海外製のものはもしかしたらかなりの量が含まれている可能性も否定できませんが、少なくとも日本の製品に関しては過剰摂取になるという心配はありません。
その他使用されている成分
人工甘味料の他にも使用されているケースが多い成分としては、保存料や着色料があります。
まず、保存料に関しては心配する人も多いですが、保存料が配合されていることにより食品の腐敗を防ぎ、それにより食中毒の危険性を抑制することができます。
プロテインは栄養価の高い食品ですので、その分腐敗のリスクも高くなりますが、この時保存料があればこうしたリスクを抑えることができます。
また、着色料についても果物や野菜を原料とした着色料が使用されていることが多く、化学的な着色料に関しても使用量はかなり少なくなっているので、人体への影響はほとんどないと考えられます。
それでも健康が気になる方へ
人工甘味料その他の成分に関して、そこまでデリケートになる必要はないと解説してきましたが、それでもどうしても成分表示が気になってしまうという人もいるでしょう。
特に小さなお子様に対してプロテインの利用を考えている親御さんにとっては、小さなことも気になるのは理解できます。
無添加のプロテインがある
少しでも人工甘味料やその他成分が含まれているプロテインが気になるという方の場合には、そういった成分を一切含まないプロテインを選択することもできます。
商品の表示を見ると、保存料、人工甘味料、着色料一切不使用といったような表現がされているプロテインがあり、これらは純粋なホエイ減量のみを使用したものになっています。
一部のプロテインでは、溶けを良くするためにヒマワリレシチンが入っていますが、これは天然成分です。
また、甘味料に関して、天然の甘味料であるステビアを使用しているプロテインもありますので、人工甘味料が気になる方はこうしたプロテインを使うと良いでしょう。
ただし、これらのプロテインを使用する際には、気を付けないといけないこともあります。
それは味です。
人工甘味料などを一切使用していないプロテインの場合、とにかく味はかなりまずいということを覚悟しておく必要があります。
こうした商品はホエイ原料そのものですので、飲んだ時にクセこそないものの、甘さは全くなく、牛乳を原料としているものの牛乳よりもかなり味のクオリティは落ちます。
また、溶けもかなり悪いものが多く、シェイカーを使用してシェイクしてもダマが残ってしまうという可能性もあります。
プロテインの摂取は継続的に行う事ではじめて効果を発揮しますので。まずくて継続できないとなってしまうとコスト的に損をしてしまいます。
ですので、飲みやすいプロテインを選択するのか、それとも健康志向を大事にするのかの選択を迫られることになります。
これに関しては個人の判断の領域ですので、どちらがベストな選択か、というのは断言できません。
まとめ
以上、プロテインの安全性について解説してきました。
現在のトレーニングブームの影響で、筋トレ人口は増加しつつあり、それに伴いプロテインの人気も高まっています。
プロテイン市場は数百億円に上るとされ、今後もその勢いは増していくでしょう。
美味しく飲みやすく、粉末で水で溶かして簡単手軽に用意することが出来るのがプロテインの良いところです。
配合されている成分に関しては、過剰に摂取しない限りは特に健康に影響をもたらすとはいえませんし、むしろタンパク質をしっかり摂取することは健康な体を作る上で欠かせません。
今回紹介した内容を参考にして、ご自分にとってベストな選択をしましょう。