植物性タンパク質とは何か?その特徴や動物性タンパク質との違いについて
2018.07.13
タンパク質は筋肉の成長を促す効果があり、特に筋トレや運動をする人にとっては欠かせない栄養素で、脂質糖質と並んで三大栄養素とも呼ばれています。
このタンパク質は大きく分けて動物性タンパク質と植物性タンパク質に分けることができますが、今回の記事では、植物性タンパク質に焦点を当てて解説を行います。
植物性タンパク質とは?
植物性タンパク質とは、文字通り植物(野菜や穀物など)から抽出されるタンパク質のことを指しますが、どのような食品に多く含まれるタンパク質で、どのような特徴を持つタンパク質なのでしょうか。
タンパク質の役割
まず、タンパク質自体の役割について解説します。
タンパク質はアミノ酸が複数結合した状態のものであり、摂取することでアミノペプチド→アミノ酸という順番で分解されていき、最終的に吸収されます。
タンパク質は筋肉の成長や回復を促すうえで効果的な栄養素であることはもちろんですが、その他にも髪の毛や肌、爪、骨、血液、内臓を構成する上でも大事な役割を担っており、運動をする人はもちろん、そうでない人にも摂取してほしい栄養素といえます。
日本人は特にタンパク質の摂取が足りないとされておりますが、これは歴史的に見て農耕民族であったことに起因すると考えられます。
また、江戸時代など名食卓に肉が出るということはほとんどなかったですから、大豆などの植物性タンパク質が主なたんぱく源でした。
植物性タンパク質が含まれる食品
まず、植物性タンパク質が多く含まれる食品について紹介していきます。
まずご存知の方も多いと思いますが、大豆製品はタンパク質を豊富に含んでいます。
煮豆や納豆、豆腐などの大豆製品をはじめ、豆乳や味噌にも植物性タンパク質が含まれます。
その他、大豆以外の豆類にも多くタンパク質が含まれており、えんどう豆やそらまめといったところが挙げられます。
豆類以外の野菜ですと、アスパラガスやブロッコリー、に含まれています。
穀物にもタンパク質を多く含むものがあり、代表例でいうとトウモロコシやアボカドがあり、蕎麦も比較的多くのタンパク質が含まれています。
最近ですと、スーパーフードと呼ばれるキヌアやヘンプシードも市場に出回っており、これらにもタンパク質が豊富に含まれている他、その他の栄養素も豊富です。
カロリーも低いので、ダイエットをしている人も気にせず食べることができます。
植物性タンパク質の特徴
植物性タンパク質の特徴は、腹持ちが良いという点が挙げられます。
特に大豆製品は腹持ちが良いとされ、小腹が空いた時に食べることで空腹感をカバーでき、長時間お腹が減りにくくなるというメリットがあります。
また、タンパク質以外の栄養素であるビタミンやミネラルも豊富に含まれていますので、サラダなどに入れて食べることで栄養バランスをとりやすくなります。
また、大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンに似た働きをすることから、女性には特におすすめですし、男性の場合も髪の毛の状態を健康に保つ上で役に立つ成分といえます。
植物性タンパク質がおすすめの人
タンパク質には植物性タンパク質の他にも動物性があります。
動物性とは肉や魚、卵や乳製品からのタンパク質のことです。
では、植物性タンパク質の摂取がおすすめの人はどのような人でしょうか。
ビーガンやベジタリアン
人によっては、健康上の理由や思想の観点から肉を一切食べないという人がおり、野菜や果物、穀物だけを食べる人がいます。
これをベジタリアンといいます。
また、さらにこの中でも、牛乳やバターなど、動物から抽出される副産物すらも口にしないというビーガンという人もいます。
こうした人達であっても、やはり上記で紹介したようにタンパク質は人間の健康を保つ上で大事な栄養素ですから、タンパク質はしっかり摂取する必要があります。
そこで、こうした人達にとっては植物性タンパク質が貴重なタンパク源になるということです。
コレステロール値や血糖値が高い人
コレステロールが高い人も、植物性タンパク質からタンパク質を摂取することをおすすめします。
肉類をはじめとする動物性タンパク質には脂肪やコレステロールが多く、これを毎日たくさん食べることでさらにその数値が悪化してしまいます。
コレステロール値が高いと血管系の疾患や心臓に悪影響が出てしまいます。
かといってタンパク質の摂取を控えるわけにも行きませんので、この場合には植物性タンパク質を摂取してタンパク質を補給しましょう。
また、血糖値が高い人にも植物性タンパク質はおすすめで、特に大豆製品には血糖値の上昇を抑える効果も期待できるとされていますので、この数値が気になる方には摂取してほしいタンパク質です。
お腹を壊しやすい人
お腹を壊しやすい人にも、植物性タンパク質はおすすめです。
動物性タンパク質を摂取することで、これが腸内で悪玉菌のエサになります。
悪玉菌が増えることで腸内の環境が悪くなり、お腹を壊したりしやすくなります。
また、牛乳などの乳製品で良くお腹を壊してしまう人がいます。
これは、牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)という成分が影響しており、この乳糖に対する耐性が弱い人は、乳製品でお腹がゴロゴロしたり、最悪の場合下痢をしてしまう人もいます。
そうした人にとっては、植物性タンパク質は強い味方となります。
植物性タンパク質のデメリット
植物性タンパク質は栄養面で優れており、また人間の体を構成する上でメリットが多い栄養素ですが、逆にデメリットはあるのでしょうか。
アミノ酸組成
人間の筋肉を構成するアミノ酸は20種類あり、体内で生成できないものを必須アミノ酸、できるものを非必須アミノ酸と呼びます。
動物性タンパク質はこの必須アミノ酸が完全に含まれており、人間の筋肉をはじめとする体を構成する上で非常に望ましく、アミノ酸の数値を点数化したアミノ酸スコアでも満点の100という数字をもっています。
一方で、豆類などの植物性タンパク質は必須アミノ酸が不十分であるとされており、体を構成する上で動物性タンパク質と比較して若干劣ります。
また、植物性タンパク質には制限アミノ酸というものも含まれることから、これが吸収を阻害してしまい、摂取したタンパク質のすべてを吸収しきれないということになってしまいます。
イソフラボンの効果
大豆製品にはイソフラボンが含まれており、これが女性に効果的という様に解説をしましたが、長期的に摂取した場合どうなるのか、男性の場合何かしらの変化が生じるのかということについては、今のところはっきりした研究結果が出ていません。
摂取を続けたからといって特定の疾患につながるとは考えにくいですが、今後の研究結果が気になるところではあります。
とにかく、タンパク質に限らず、どのような栄養素でも過剰に摂取すれば何かしらの影響を体にもたらすということは言えますので、1日の目安摂取量を守って摂取するようにすれば特に問題はないでしょう。
摂取量や摂取タイミング
植物性タンパク質の摂取量については、1日のタンパク質の推奨摂取量を知ることが大事です。
基本的には、運動をしない人の場合は1日に体重1kgに対して1g、運動をする人は2gの摂取が必要とされます。
何から摂取するかについては、ベジタリアンやビーガンの方をのぞいては、動物性と植物性のバランスを取って摂取するのが理想的です。
また、摂取タイミングについては、植物性、動物性に関係なくこまめに摂取することが大事です。
人間には1回の食事で吸収しきれる栄養素の量が決まっていますので、時間間隔をおいてこまめに摂取するようにしましょう。
プロテインという形で低カロリーで簡単に摂取することもできますし、植物性プロテインであるソイプロテインも人気が高まっています。
こうしたサプリメントを活用しながら補給していくと良いでしょう。
まとめ
以上、植物性タンパク質について解説してきました。
理想としては動物性タンパク質と植物性タンパク質のバランスを取って摂取するということになります。
それぞれのタンパク質が良い面と劣る面をもっていますので、それらを補うという意味で意識して使い分けるというのもいいと思います。
健康的に生活する上では欠かせないタンパク質。
しっかり摂取して健康的な体をキープしてください。